在る秋日に、君の名を

作者藤 和

“さらば。さらば友よ”
懐古などしなくとも思考の中心にいつまでも居続ける相方の己を呼ぶ声が、脳裏で響く。──「ひとりに、するなよ」「ここにいたい」






惜別の念はない。寂寥の感もない。



懐古などしなくとも思考の中心にいつまでも居続ける相方の存在に、ひたすら己に言い聞かせているのは、置いていった方か、置いていかれた方か。はたまたいずれもか。



ただ、互いが互いに、遠い地にいる友が息災であるようにと願う。






開始  2015.11.14

終了  2015.12.16

公開  2015.12.28

番外編  2017.5.22