束縛~愛と欲望に溺れた兄~【完】

作者水瀬皐月

ある弁護士と教師が一人の少女・咲良をめぐり、咲良をあらゆる方法で攻めていく。咲良は一体どちらの手に渡ったのか。
ちょっと大人の狂愛を貴方に。

「愛してる。咲良…」


いつもそう言う貴方は私の気持ちを考えない。


愛しているなら、ここから出してよ。

いつも思うけど、決して口には出さない。


暗い部屋に独りぼっち。

じっと貴方が帰って来るまで、鎖に繋がれ目隠しをしたまま冷たい床に這いつくばっている。


だけど、そんな私に神様は手を差し伸べてくれた。


私は暗い部屋からも、貴方からも逃げる事が出来た。

だけどその時、私はお腹を刺され重傷を負った。

酷い激痛が走り、気を失った。


『これで誰にも邪魔させない』


最後に貴方はそう言って、自分で刺した。


私は貴方も私も死んだ、と思っていたのにそこは病院だった。

私は助かってしまったようだ。


そしてこれが運の尽きか。

貴方も生きている事を知った。


まだ私の悪夢は終わる事はない。

私は毎日、これからも貴方に怯えながら生きていくしか道はないのだから…。