あなたのせいで、

作者卯花かなり

恋愛に対して自由奔放な梶先輩と、一途で真面目なあんず。
互いの恋愛観が違うことを理解していたあんずは、自分の気持ちを偽ったまま、先輩と付き合うことを決めたが…



4月




「愛され過ぎると、重くなる」



梶センパイは、そう言った。



「あんずは、俺のこと好き?」



だから私は、



「好きじゃない」



そう答えた。



「じゃあさ、俺と付き合ってよ」




あなたのせいで、




「いいよ」



私は今日も、嘘を吐く。






短編集『イモーテルと不思議な街』


第一話 4月


「あなたのせいで、」