その男は危険だと誰もが言った。好きになってはダメだと知っていながら好きになった。咽かえるほどのシトラスと甘い煙草に香りに魅せられて、私は落ちた。



「私も煙草吸っていい?」


「吸えるのか」


「分かんない、吸ったことないもん」


「好奇心の塊だな」


「興味のあることは、全部知りたいタイプなの」


「貪欲なやつ」


「そういうの嫌い?」


「さぁな」




ほんの一瞬、ヒロが笑った気がした。


だけどそれを確かめる前に、唇を塞がれた。


息が止まるかと思うくらい、長いキス。


甘くて苦い煙草の味は、唇越しに教えてくれた。




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いつか私にもお殿様が迎えに来てくれると思っていた。


だけど、そんな日は来ないと諦めていた。


思い描いた理想のお殿様とはかなり違うけど、ヒロがそうならいいなってこの時、馬鹿な私は思っていた。


キスを繰り返すその合間、ヒロの肌蹴たワイシャツの隙間から鎖に通されたペアリングを見えていた――。




no fate


あなたは運命を信じますか?