その羽根を広げてみて 【完】

その羽根を広げてみて /微光



駅を中心として繁栄を主張している街は夜が深くなってもネオンで華やぎ、あちらこちらに若者が屯(たむろ)している。


目立たないよう地面にだけ視点を下げていた私は胸の前でカバンを抱えて、上がる呼吸を必死に抑えて歩いていた。


とっくに日付なんて変わり、電車だって終わってる。


どうやって帰ればいいか宛もないまま、ただただ足を運んでいた。


……このまま歩いてたら、イタリアのお母さんのとこまでいけないだろうか?


四方から笑い声が耳に入るたびに、孤独な自分が際立つ。


こんなに人が溢れてるのに、誰もが他人で。


騙されて、殴られて、襲われかけて……散々だったのに。


『──悪かった』

チカさんのあの一言が一番強烈に記憶へ刻まれていた。

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