虞犯少年

私が彼に堕ちた後 /壊れる前に壊せばいい



嵐は私に何があったのかを聞くよりもまず、風呂に入れと連れてこられたのはお風呂場で2人で一緒にお湯に浸かった。ポカポカと気持ちいい。だいぶ落ち着いた私は気付けば涙も引っ込んでいた。ぴったりとくっつくこの距離が心地いい。




「落ち着いたか?」


「…うん。ごめんね」



小さく謝る私に嵐は「なんで謝んだよ」と怒ったような口調で言う。必要な言葉しかお互い喋らない。そんな沈黙が包む空間さえも愛しくて、ずっと嵐にひっついていた。ベッドの中でも抱き合いながら何をどう話せばいいのか考える。

言いたい事、聞いて欲しい事、いっぱいあるけどなんて言えば上手く伝わる?

まだどこかでは認めたくない自分がいて、家族に愛されていない可哀想な女だと嵐に思われたくない見栄が邪魔をする。

全てを無くす勇気なんて本当はなかった。

嵐だけしかいらない。嘘じゃない。だけど、その嵐さえも失ったらどうしたらいいの?





「俺はどこにも行かねぇ」


「うん」


「ずっと明日香と一緒だ」


「…本当?」


「俺は明日香のもんだろ」



何回聞いたって足りない。もっと言って。嵐は私のものだって。離さない。離れない。誓いはいつだってここにある。

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