虞犯少年

番外編 /キミゴト




「……もういいよ!!」



諦めに似た言葉が喉からこぼれて、はっとする。

投げやりで、"もういい"なんて微塵も思ってないのに冷たくて、だけど感情的な声がぶつかる。

どうしようと後悔したって一度声に出してしまえばもう戻すことはできない。

これ以上聞きたくないと頑なに拒否する体はこの心に正直だった。



「勝手にしろ」



嵐の表情はかたく歪みじっと無言で責め立てるように見つめてくる瞳はじんわりと苛立ちを含んでいた。

その声も同じように、たった数分前まではあんなに優しくて甘やかしてくれていた声とは同一人物だとは思えないほど。

一定の低音を保ったまま言い放たれた言葉は色がない。それはずっしりと重く胸に刺さり簡単に私をどん底にまで突き放してくれる。



「っ、わかった」



きつく結ばれていた手と手がほんの少し緩んだ隙をついて離れ離れ。ちょっとやそっと振り解こうと足掻いたってそれくらいじゃいつも簡単には離してもくれないくせに、なんでよ、バカ。こういう時ばっか。

力いっぱい振り解こうと揺らした手にのせられ嵐の温もりが遠退いた。

同時にくるりと姿勢を変え嵐に背中を向ける。

ぽたり、流れた液体なんか気にしていられない。

嵐が勝手にしろって言ったんだから、私は言われた通り勝手にさせてもらいます。なんて屁理屈を心の中でこぼす。

こんな可愛げがない女よりもやっぱり嵐は…




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