虞犯少年

私が彼に堕ちるまで /キミが居ない世界に価値はない



噂が流れて一週間がたった。相変わらず周りからの態度は日を重ねることに増していく。私はそれでも学校に行くのが憂鬱だとしても、行かなくてはならない。嵐に怪しまれちゃダメだ。変な態度もとれない。


「何か困ってることはないか?」と聞かれても「ない」と答え続けている。そんな窮屈な空間を救ってくれるのは美帆。私と一緒に居ることで美帆にまでその矛先は向かうんじゃないかって心配も、美帆の誰にでも好かれる人柄のおかげでその不安は消えてホッと胸を撫で下ろす。


ボロボロになっていく教科書。クスクス笑う声。こんな嫌がらせに泣きそうになったこともあるけど美帆のおかげで笑えてる自分がいたから、平気だった。それは本当の意味で"一人"じゃなかったからなんだと後になって痛いくらいに思い知る。



「美帆、おはよー」



朝、教室に入って挨拶をする。一瞬ちらりとこっちを見た美帆はまるで私がここには存在していないかのように視線をすぐ逸らした。そしてイスから立ち上がり違う女子のグループの輪の中に入っていく。美帆は笑っていた。だけど私は笑えなかった。


え…美帆?どうしたの?


聞こえてなかった筈はないのに、可笑しい。他の子たちと同じ態度。話しかけたいのに、拒否られることが怖くて話しかけれない。何か美帆を怒らせちゃったのかもしれない…そう自分に言い聞かせながら深く深呼吸。



「っ美帆、」



次の授業は違う教室で行われる為、みんな次々に教室を出て行く。美帆も教室から出て行こうとしていた。勇気を出して声をかけただけだと言うのに微かに手が震える。ピタリと足が止まった美帆はゆっくりと振り返る。その顔は笑ってた。だから私も笑えた。笑えたんだ。なのに…美帆の言葉に私は絶望する。

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