虞犯少年

私が彼に堕ちるまで /最初から最後まで



美帆は振り返る事なく行ってしまった。


一瞬だけあった瞳に寒気すら感じて、ボロボロに泣き崩れ睨む美帆に私がかける言葉なんか持ち合わせていない。



可笑しい。こんなの、可笑しすぎる。


何がとか、何処がとかそんなんじゃなくて


嵐が美帆が私が――――可笑しい。




「あの女が言った事は気にすんな」


「…」


「明日香ともっと早く出会ってりゃ、遊んでなかった。お前以外の女はとっくに切れてる」


「…」


「嘘は言わねーぞ?」


「――嵐」


「ん?」


「…ね、もしかして…知ってた?」


「何を」


「私が…っ」



息が上手く吸えない。ふつふつと起こる嵐への不信感。


もしかして、だとしたら…パズルのピースをはめてくように、必死にそれを考える。


何かが引っかかって上手くはまらないそれは嵐の態度次第でどうにでもなる。


"もしかして嵐は…"


私が嫌がらせを受けてた事も噂を流されて、教科書はボロボロにされて、美帆が嵐を好きで、そして…私が憎かった事も……全部知ってた?

そう仕向けた本人は…嵐だったの?


嵐の唇の動きを見つめ、聞きたいけど聞きたくない、そんな矛盾がある気持ちを抱えながら小さく問う。

微かに微笑む嵐に私は絶望を感じた。




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