【美獣兄弟と義妹の関係】~母が極妻になりまして~【完】

第2章~キョウダイの契り~ /―越えられない過去―

「何してんだよ?オマエら」

場違いなほど静かな‥けれど低音のよく通る声が、倉庫内に響いた。


「誰がそんなことしろ、って言った?」

涙でかすむ視界でとらえたのは‥

さっき無抵抗な多聞の顔を踏みつけてた‥あの男〝千手〟の姿で‥

私は全身の毛が逆立つ感覚を覚える。



誰でもいいからこの状態から解放して欲しい‥すがるような思いと

だけど、もっと酷いことされるんじゃないか?っていう恐怖‥


相反する感情を抱きながら、千手を見てた。


この人なら助けてくれる?偉そうな雰囲気かもしだしてるし‥

でも、こいつらの仲間だよね?



「痛めつけてどうすんだよ?敵は葛城じゃねぇんだぞ?」

千手がそう言って、プロレスラーの尻を蹴った

「わかったなら、とっとと降ろせ」


蹴られた部分を押さえ

悶絶しながら床をのたうち回るプロレスラーの姿見て

滑車の取っ手を握ってた男が、慌てて私を床に降ろした。



地面に足がついてホッすると同時に

全身の力が抜け、ヘタヘタとその場に座り込む。


涙もあふれ出してた‥助かって良かった

あのままずっと吊るされてたら、どうなってたかわからない

手がまだ痛くて‥体全体の震えも止まらなくて‥‥



「ウチのモンが、手荒なマネして悪かったな」

そんな言葉とともに

何かが肩に触れる感触があってビクリ、全身に緊張が走った。



おそるおそる顔をあげると

透けるような髪の向こうの、色の薄い瞳と目があう。


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