【美獣兄弟と義妹の関係】~母が極妻になりまして~【完】

第1章~兄と弟と、それから私~ /―世界の深淵ー

本当をいうと

初恋は、甘いだけの思い出じゃなかった。


雨の降りしきる歓楽街であの夜、その人が私に見せたのは

優しいほほ笑みと、冷たい眼差し

…相反する二つの顔…。



記憶を手繰り寄せるようにして思い出すのは

あの晩、現場となった母の店の情景……


濡れた私の手を引いて店を訪れた、その若者に対し

申し訳なさそうにペコペコと何度も頭を下げる母。



だけど次の瞬間、乱暴な音を立てて開いた背後のドアから

飛び込んできた一人の男。


大声で何かを怒鳴り散らしながら、ズガンッ!

いきなり、母の傍らに立つその人に向けて、発砲した。



突然の銃声に驚いて、店内は騒然とする。

悲鳴をあげながら、店で働く従業員やお客が、あたりを逃げ惑ってた。



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