【美獣兄弟と義妹の関係】~母が極妻になりまして~【完】

第3章~血の繋がり以上の絆~ /―夜叉王―

私は‥

その夜、その時の光景を一生忘れないだろう‥


いつか気絶した多聞の頭を踏みつけにした千手を、酷い人間だと思ったけれど

踊り場に倒れ込んだ千手に対する、夜叉兄の行為は

そんな生やさしいものじゃなかった‥。


何度も何度も執拗に、同じ場所を狙って蹴りあげ

そのうち相手が血ヘドを吐いても、やめる気配すら見せなかった。


静かに無表情に、機械のように冷徹無慈悲に‥

飛び散る血と、靴のつま先が肉にくい込む音、苦痛に歪む千手の顔。


見ていられなくなって目を閉じると

脳裏に赤く鮮血の血しぶきが広がった。

あの晩‥ママの店で、葵さんが撃たれた後、夜叉兄は何をした?


暴漢のうえに馬乗りになって、力任せに殴りつけ続け‥

‥返り血に染まる狂気の瞳を、ランランと黒光りさせて‥


普通じゃない‥常人にはとうてい理解できないようなことを

夜叉兄は、当たり前のように、してみせた。



そう‥私は知ってたんだ。

千手が凶悪なだけでないのと同じに、夜叉兄は優しいだけの男じゃない。


その両手が血で染めあげられたなら、足を使ってでも相手を痛めつけるだろう‥

それだけの覚悟と度胸と、そして残忍さをあわせもつ

‥この世界の王だった‥‥


0
  • しおりをはさむ
  • 539
  • 6043
/ 730ページ
このページを編集する