【美獣兄弟と義妹の関係】~母が極妻になりまして~【完】

第4章~愛と抗争の代償~ /―彼女の兄貴―

昼間の歓楽街に、ひと気はなかった。


道端のゴミ置き場を漁るカラスが、ときおり奇妙な鳴き声をあげ、飛びたっていくだけ。

夜の喧騒が嘘のように、ひっそりと静まりかえってる。


眠らない街にも、休息時間はあるんだな‥‥。


ボンヤリと窓の外の風景を見つめてるうちに

愛染さんと私を乗せた車は

繁華街の裏通りに建つビルの前に停まった。


車内から、掲げられた看板を見る限り

その黒っぽいビルには、雑多なお店が入っているようだったけれど


フと目にとまったのは‥

最上階にあるカジノバーらしき店の名前〝9 Heads Dragon〟


ハッとした。これって‥まさか、もしかして‥‥


「ダメだよ。ここまで。」


愛染さんに続いて車を降りようとしたら

アスファルトにつま先が着く前に、動きをとめられた。

「え?」


「ちょっと危ないかもしれないから、中で待ってなよ、ね?」


長い指先で私の髪を撫でつけるような仕草しながら

愛染さんは車の座席シートに、こちらの体を押し戻そうとしてくる。


「‥そんなのイヤです!

行けば、夜叉兄に会えるかもしれないのに‥‥!」


少しでも早く、夜叉兄の顔を見たかった‥

無事でいることを確認して、安心したかった。


「キミを危ない目にあわせたら、東條の兄弟に恨まれるのは僕のほうだ。

ホラね?いいコだから、ココで大人しくしておいて?」


「だけど‥ここまで来たのに‥‥」


押し問答してたら

誰かが背後から愛染さんの肩をつかんだ。


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