【美獣兄弟と義妹の関係】~母が極妻になりまして~【完】

第5章~兄の宿命・弟の使命~ /―それぞれの想い―

「ちょっと‥待って、夜叉兄!危ない!!」

助手席から叫んだけれど、遅く

迦楼羅の前にスタリと降り立った夜叉兄が不敵に笑う。

「轢き殺しちまえば、良かったな」


迦楼羅は相変わらずの無表情で、唇だけを動かして言った。

「生きてたなんて驚いた。

ゾンビ化してドライバーに転職だろうか?

ずいぶん数奇な運命の若頭様。

フィルム・ノワールで銀幕デビュー‥きっと全米が泣くね」


潮風に黒髪をたなびかせながら

迦楼羅の軽口を無視した夜叉兄は、静かな声で問いかける。

「‥‥倉庫に火をつけたのはオマエか?」


「ハエが集まってきてブンブンうるさかったから

いっせいに駆除してやった」



「ろくなこと考えねぇよな、いつも」


「そっちこそ。そんな獲物一つでどうしようっていうのだろ」


夜叉兄の左手には、いつの間にかバールのような細長い工具が握られてた。

もしかして、トラックの車内から見つけたんだろうか?

でも、そんなのどこにあったの?ってか、いつの間に??

自分の兄の抜け目のなさに、思わず感嘆の息が漏れる。


けれど敵は銃を手にしたまま、余裕の言動。

「また死ぬほどボコられたい?

今度こそ、この世に戻って来れないように、蜂の巣にしてやろうか?」



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