【美獣兄弟と義妹の関係】~母が極妻になりまして~【完】


ゆっくりと音もなく‥相手が

指先を動かす‥‥


伸ばした人差し指の先端を唇の中心にあて

私を見据えたまま

軽く‥ほんの少しだけアゴを傾ける。


前髪がユラリと、目の先をかすめて横切った。

そんな様子にドキリと心奪われる。

夜風にのって漂ってくるのは、いつか生意気だと感じた甘い香りで‥‥


〝黙ってろ〟

そう、命令された気分になる。


くだらないモノを見る目つきは、相変わらずのままだった。

上から押さえ付けらるような圧力を感じて

その場に、ひれ伏したくなる衝動に襲われる。


〝何も見なかったことに〟

言い聞かされてる気がしてた。


直接、会話したわけでなくても

態度と視線を通して、伝わってくるものがあった。

自分に逆らうことを許さない威圧感。


促されるようにして

私はコクリとうなずく。



‥‥その晩、私が目にしたのは

怖れを知らない、無情の獣だった。

何色にも染まらない、絶対的な存在。



街を支配する若き王‥


その名は‥‥〝夜叉〟‥‥‥




‥‥‥‥‥‥‥‥‥

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