【美獣兄弟と義妹の関係】~母が極妻になりまして~【完】

追加章~side葵~ /―運命と宿命―


〝恐ろしい目に遭ったね〟

〝でも命だけは助かって良かった〟

〝かわいそうに‥痛かったよね?怖かったでしょ??〟


事件のあと、いろんな人に、いろんなことを聞かれたけど

ハッキリ言って、撃たれた瞬間の記憶は全くなかった。


自分がその時何を思ったのかすら、定かではない。



‥‥ただ、直前まで考えてたことは覚えてる。



発砲があった、あの時

衝動的に体が動いた‥と言っても


もし、その人があの晩のまま‥

冷たい表情しか見せてなかったとしたら

私は、盾になろうなんて思ってなかったと思う。


客同士の揉め事には、むやみに首を突っ込まないのが店のルールだったし

もちろん、そんな危険な状態の中で行動を起こすなんて

普段の私なら考えもしないことだった。


それに、最初の一発が額をかすめ、負傷はしてても

その〝坊ちゃん〟が無抵抗のまま敵にやられるなんて

ありえないだろう‥というのは自分でも想像がついてた。


‥‥そう、その時たしかに私は見たんだ。


顔半分を血に染めながら‥獣のごとくランランと瞳を輝かせ

戦意を喪失してるようには全く思えない、その姿を。



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