【美獣兄弟と義妹の関係】~兄の恋人になりまして~【完】

「ねぇ弥勒さん。

アナタは、いい人ですか?

悪を捕まえてこらしめるから、正義?立派なの?」


「…………」



ちゃポン。

しばらくの沈黙のあと、また水音が聞こえて

それから静かな低い声が響く。



「強大な悪に立ち向かう人間は、一般的に

品行方正で清廉潔白だと思われてる。

命に替えても、市民の平和と安全を守る。それが職務。

誇りもあるよ。

犯罪者を、取り締まって逮捕して一掃して……」


弥勒さんが息をつく。

何となく疲れたような。何かを、諦めたような……。


「だけど誰も、ヒーローになんてなれない。

綺麗ごとだけで済まされない現実も、認めなきゃな。

話題性と処理件数と権力……それと金がモノ言う世界。

組織なんて、どこも同じかもしれないけどね。

入ってみて、失望して去ってく若者だって多い。

上にいけばいくほど、人間性なんて関係ないのかも。

親が偉そうな顔してるだけで

こんな自分でも成り上がれるわけだし」



自嘲ぎみな、軽い笑いとともに

弥勒さんは続けた。



「腐敗してるとまでは、言わないけれど

今のやり方じゃ、そのうち信頼なんて失くしてしまう。

キミのお兄さんに出し抜かれる前に

こっちだって、変わらなきゃならないだろうな」




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