【美獣兄弟と義妹の関係】~兄の恋人になりまして~【完】

〝数名の方〟と言ってたけれど

昼食を終え、おばあさんが畑仕事に戻ったあと

弥勒さんが

部下二人を引き連れ向かったお宅は、一軒だけだった。


その行動にいっさいの迷いはなく

そんなふうな相手の態度にも、私は驚くばかりだった。


午前中に村民と交わした

世間話ほどの何でもない会話だけで

犯人に目星をつけることなんてできるの?


いや、見込みというより

もはや弥勒さんの中では、確信に近いものを得ていたようで

部下の人と目配せ一つで、足早に目的地にむかう。


どの部分が引っかかったのか、全くわからなかったけれど

さすがにプロってすごいな。


感心しながら、弥勒さんの後ろにひっついて歩き

着いた場所は

あばらや……と言ったら悪いかもしれないけれど

村のはずれの、粗末で簡素な木造家屋。



さっき来た時も、その見た目に、かなり引いたけど

屋根や壁なんかも、ちょっと崩れかけだし

本当にここに人が暮らしてるのかな?って思うような

ボロい造りの……。



中に住んでいるのは

昨日、鹿肉を持って来てくれた、白髭おじさん。


真っ黒に日に焼けた肌と、頭に巻きつけた汚れた手ぬぐい

それに擦り切れた作業着が

いかにも田舎のおっちゃん、って風体。


さっき、おばあさんの呼びかけに答えて出てきた時は

玄関先で、弥勒さんと二言三言ていど

軽く立ち話してただけだったけど……


まさか弥勒さん

この、人の好さそうなおじさんを疑ってるの?



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