【美獣兄弟と義妹の関係】~兄の恋人になりまして~【完】

手招きされたので

畳のうえをソロソロと。膝を進める。


そばまで近づくと

そっと頭を撫でられ、聞かれた。


「どこ行く予定?」



「富士山のほう。

でも会えなくなるなんて、そんなの大げさだよ。

宿泊研修は2泊3日だもん」



「なんだそうか」


ホッとしたような目の前の笑顔に

性懲りもなく、キュンとなる。



「だけど嬉しい!

夜叉兄に聞きたかったことが、いっぱいあって……」


ほとんど

甘えんぼうのネコにでもなった気分の私。


ゴロゴロと喉を鳴らして、すり寄っていったり

膝の上で体を丸めたりできたら、幸せだろうな。


まあ、こんなふうにヨシヨシ髪を撫でつけてもらえるだけでも

じゅうぶんなんだけど。


だけど……


「いいよ。何?」


流すような視線に、またもやウットリ。



袖からのぞく手首の、骨ばったゴツゴツ感とか

浮き出た筋が、妙に男っぽいし

あぁもぅ何なのか、この兄は。



って、イヤ違う。しっかりしろよ私。



夜叉兄と

幕末維新志士には、何の共通点もないはず。

昭和の文豪とも、いっさい関係ないはず!



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