【美獣兄弟と義妹の関係】~兄の恋人になりまして~【完】

「…………」


頷こうとして、できなかった。

雛菊さんには覚悟がある。

修羅兄のことを一番理解してるのは、自分だという自負も。

だけど、私には……。


「私は昔から、あまり

他人に興味を抱いたり、ものに感動したりすることのない子供でした。

何かに熱意をもって、入れ込んだりしたこともなかった。

そんな私が、こうして宮に出会えたのは運命です。

いつしか心に決めていました。

自分の人生の全てをかけても、この方を支えて差しあげようと。

そんな、自分の中の、燃えるような情熱に気づかせてくれた

かけがえのない存在を

今では宝物のように、愛しく思っています」


かみしめるように語る雛菊さんの言葉を聞いて

私は

怖いけれど、確かめるしかないと思ってた。


「修羅兄のこと、好き?……なんですよね?」


「えぇ」


雛菊さんのように、落ち着いて

震えることなく声を発したかったけれど

私には、無理だった。


「……それは、どのくらい、ですか?」


「宮のことは、誰よりも、愛していますよ?

ですから、いつまで、この体がもつかはわかりませんが

……それが例えあと、ほんの少しだとしても、かまわないから

できる限り、一緒に過ごしたいと思っています。

私に残された時間の全てを、宮のために使っていきたいと……」


「…………」


私はそれ以上、雛菊さんの顔を見れなくなった。

説明できない感情が、体じゅうに渦巻いて。


かける言葉も、伝えたい気持ちも

自分の中のどこにも、見つかりはしなかった。



…………………




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