【美獣兄弟と義妹の関係】~兄の恋人になりまして~【完】

第5章~兄×妹×弟の関係~ /―包容と衝動―

「夜叉兄は、さ……」


「うん?」


夜叉兄が仕事場、兼、住居として所有する

マンションの部屋で、夜景をバックに豪華ディナー。


メニューは、この兄お手製のパイ包みサーモンと

気まぐれサラダ+トマトクリームスープ。


もちろん美味しいに決まってる。



「知ってたんでしょ?

雛菊さんの体調のこと」


「あぁ、そういえば、誰かが何か言ってたな」


「何それ。

病名も聞いてるんだよね?

どうして治療をすすめなかったの?」



こんな素晴らしいゴハンを用意してもらっておきながら

問いただすような言い方になってしまって、すみません。


夜叉兄は、優雅にほほ笑みながら、グラスの端に唇をつけ

それから、ゆっくりとテーブルに置いた。コトリ。


グラスに添えられた長い指先が

ほんのりとワインの色を映してキレイで。

私はボンヤリ、そんなのを見つめる。



「生き様も死に様も、自分で決めることだから。

オレは干渉しない」



「そんな、どうでもいいような言い方しないでください。

雛菊さんと友達なんでしょ?大切じゃないの?

助かる希望があるなら

生きることを、あきらめちゃいけないと思う」


クスクス……

夜叉兄が静かに笑った。


「オマエが死にそうだっていうなら

迷わずオレの心臓をくれてやるけどね」


ずいぶん楽しそうな調子で言うから

あきれた。


そういうとこ、あるんだよね。

べつに命を軽んじてるわけじゃないだろうけど……。



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