【美獣兄弟と義妹の関係】~兄の恋人になりまして~【完】

第5章~兄×妹×弟の関係~ /―飛来するもの―

「どうすれば、いいんですか?

ここで脱げばいいの?」


助手席のシートに背中を押しつけ

ポツリと言ったつもりだったけど


暗く狭い空間の中では

妙に大きく響いて聞こえた、自分の声。


「あれ?どうしたの?急に積極的。

とうとう僕に身をゆだねる覚悟ができた?」


愛染さんが頭をあげる気配。

それでも

首筋にかかる吐息のせいで

肌がゾクリとするのは変わらない。


「……何でもします、私。

べつに、どうなったってかまわないから。

誰かに大切に扱われるほど

価値のある人間じゃないのもわかってる。

だから、愛染さんの好きなようにしてください」


覚悟を決めた、なんて格好いいものじゃない。

あきらめたんだ。悟っただけ。

自分の身の程なんて、たかが知れてる。


私は、夢の国のお姫様にはなれないし

少女マンガのヒロインでもないのだから。



「メチャクチャに壊したいなら、今ここで

そうしてもらってかまわない」


「…………」


相手の、私を観察するような眼差し。

心の奥底が、波打つようにゾワゾワする。

単純な恐怖から、だけじゃなく。


「痛くても、泣くの我慢するし。

怖くなっても、声はあげないから」


「……何それ。本気で言ってるの?」


ちょっと怒ったような

すねたような瞳が、こちらをのぞき見る。



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