【美獣兄弟と義妹の関係】~兄の恋人になりまして~【完】

「なかなかレスポンスのいい車だな。

内装は好みじゃないけど、乗り心地は悪くない」


「…………」


私の苦悶なんて、どこ吹く風の弥勒さんが

満足そうに隣でほほえむ。


「事故ったふりしてボコボコに壊してから

返したら、夜叉のヤツ怒るかな?」

「‥…………」


怒るに決まってる。

何でそんな怖いこと考えたりするの?


「あ、途中でちょっとSA寄っていい?

旨いって評判の牛串があるんだ」

「…………」


好きにしてくださって結構ですけど

相変わらずの食通っぷりですよね。


抜け殻になったような気分のまま

ボンヤリと窓の外を眺め、現実逃避。


いつか夜叉兄お手製のご馳走に

弥勒さんが舌鼓うつような日が来ないかな?

どんな感想いうのか知りたい。


だって夜叉兄の手料理以上に美味しいゴハン

私、食べたことないし。


「キミも一緒に食べるだろ?

地元産の和牛だから味は保証するよ?」


「いいです。いらない」


「せっかくだから、つきあってくれないか?

妹ができたら、一度してみたかったんだ。

こんなドライブみたいなの」



「……な、何なんですか?」


彼女ができたら、みたいなノリでいうのやめてください!


もう、何がしたいのかわからない。


人の素性を兄の前で暴露して

私を地獄へ突き落したくせに!



「わかんないんですけど、私の存在って嫌じゃないんですか?

何ていうか、愛人の娘、とかだし」


「そんな思春期の子どもみたいなこと、ちっとも思わないな。

事実を知って驚いたけど、それと同じくらい興奮してた。

憧れてたんだよ、ずっと。

血を分けた、きょうだい、っていうのにね。

前に話したろ?」



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