【続編も完結】王子様の魔法



「なんだかんだ言って、慣れて来てるみたいだね。仕事」

「そんなことないけど。じゃああたし、急ぐね?」


「はいはい、頑張ってね~」



軽くそんな挨拶を交し合って

瑞穂ちゃんに背を向けたその時。


目に飛び込んできた光景に

自分の口から無意識に「げッ」と声が漏れるのを

堪えるのにあたしは必死だった。



「藤見さん、テストお疲れ様」

「か、会長。どうしてここに?」



にっこりと微笑を浮かべる彼に

あたしは警戒の眼差しを向けてしまう。


立ち止まったあたしの背後から

ヒソヒソ話し声と

彼に向けられたクラスメートからの熱い視線を確かに感じる。


「迎えに来たんだ。多目的室、一緒に行こうと思って」



「行こう?」そう促されてあたしは怪訝な目を彼に向けた。


だけど、ニコニコ笑う猫かぶりバージョンの彼。


邪険に扱ったりすれば、周りから、なにより本人から

どんな仕打ちを受けるか分かったもんじゃない。


顔が引きつらないように注意しながら

あたしは何も言わずに彼の後に続いて教室を後にした。


廊下に出てからも

教室での女の子達の黄色い声が耳にまとわりついて離れない。

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