東雲さん家の食卓には【完】

つゆ /シェル



「何して…」


「観察。」


「…あ、そう。」


「嫌い?」


「…………。」








東雲さん家のカタツムリ










◇◆◇長男アカネeye




6月も下旬、まだまだ梅雨明けの気配は見られない。


今日も朝から雨が一日中降り続いていた。


帰宅し、玄関の鍵を開けようと傘を閉じた際、視界の隅に…



(ミコト?!)



庭で蹲るミコトが映った。



「何して…」



声をかけると、口元に人差し指を添え「しーっ。」とされた。



か、可愛い…。



「観察。」



ミコトが示した先を見ると、葉っぱの上をゆっくり進むカタツムリ。


思わず仰け反る。



「…あ、そう。」


「嫌い?」


「……………。」



虫は嫌いではない。


ただ、カタツムリだけは苦手だ。


小学校の時、クラスで飼育観察していたカタツムリが夜中に脱走し、翌日クラスのあちこちで這っている姿を見て以来、若干トラウマになっていた。



「アカ兄にも苦手なものがあったんだね。」



少し嬉しそうにミコトは言った。



「そりゃあるよ。」


「アカ兄は何でもできるから一人でも大丈夫かと思ってた。」


「まあ、カタツムリぐらいなら命に関わることじゃないから大丈夫だけどね。」


「…そっか。」



ミコトは呟くと立ち上がり家に入って行った。



「?」



近頃ミコトの様子が違う気がする。


思春期だから?


俺みたいにグレたりしないかな?


学校で何かあった?


あー、心配!


色々な意味で目が離せないよ!


心の日記に書ききれない!





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