お邪魔します、大谷さん。

私とあなた、そして家賃 /201号室

【201号室】




ピンポーン


ガチャ、





「あ、えっと…」



101号室の件があったので、チャイムを鳴らしたにもかかわらず、出てもらえたことに逆に戸惑ってしまった。



「落ち着いて?ゆっくりでいいよ。」



201号室の住人である正木ユウトにニコッと微笑まれ優しく言われた。



「管理人代理の大谷ノゾムです。お忙しいところ失礼します。家賃の集金に伺いました。」


「ああ!家賃ね、ドア閉めて待ってて?」



そう言われたのでそのまま外からドアを閉めようとしたら、



「違う違う、中で待っててってこと。」



ふふっと微笑まれてしまった。


全体的にフワッとしており歳は然程変わらないのに落ち着いた雰囲気がある。


きっと誰にでも優しくて親切な人なのだろう。


でも、会ったばかりの人間を部屋に入れてはいけないのではないかしら?


警戒心が無いのでは?


まあ…私も同じね。


会ったばかりのよくも知らない人間、しかも異性の部屋に入るなんて…危険だわ。


家賃をもらったら速やかに退散しましょう。



「はい。よろしくお願いします。」



1人考えていると、正木ユウトは不安を打ち
消すような微笑みを向けてきた。



「こ、こちらこそよろしくお願いします。」



先に頭を下げられてしまったので、なんだか
居た堪れない。



「俺は忙しくないけど、ノゾムちゃんは?」


「え?」


「お茶でもどうぞ。」


「はい?」



手を引かれ、柔らかい表情のままの彼のペースに流されてしまった。


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