THE BOY in the BOX

1 /hiroki

「大樹、寄ってこ!」

放課後、悠里は早速大樹を誘い、帰り道にいつも立ち寄るクレープ屋に行こうと提案した。

今日は水曜日のため、大樹の部活は休み。
悠里は元から帰宅部のため、家が近い2人はいつも水曜日になると駅前のクレープ屋に立ち寄るのが習慣だった。

「イチゴクレープ一つ、あと、チョコバナナ」

何も言わずとも悠里の食べたいものを注文した大樹に、2人の付き合いの長さがうかがえる。

いつもより混雑している店内は満席で、男女のカップルがひしめき合っていた。
内心、大樹は毎週この店に立ち寄るたび、心臓がドキドキと大きく脈打つ。

仲睦まじいカップルを目にして、俺たちも周りからみればデートしているカップルだと思われているのだろうか、、

そう考えずにはいられないのだ。

イチゴとチョコバナナのクレープを店員さんから受け取ると、早足に悠里の元へと向かった。


「、、はい」

「ありがとー」

間延びした声からは、悠里が何か物思いにふけっていることが伺えた。

いつもならクレープを手渡した瞬間、かじりつくのに、今日は手が止まっている。…おかしい。

「で、どした?話って」

あえて、悩み事があるのか、と大樹は問いかけなかった。その行為に意味がないと重々承知しているのだ。

悠里は昔から、人に頼るのを嫌う。それを誰よりも知っている大樹は、はなから「何か悩み事か?」などと愚問を口走らないのだった。



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