不純愛【完】

SS /いつかの、


初めて志乃を見た日から10年。

先の見えない想いがやっと報われたんだと思った。



ずっと思ってた事がある。

志乃と初めて言葉を交わしたあの日、やっと会えたことに歓喜したのと同時に、彼女のことを何も知らない、と。

どんな話し方をするのか、どんな考え方をするのか、何もかもだ。

人を好きになる過程には、内面から知る場合と外面から知る場合のこの二つだと思う。

俺は彼女の姿形しか知らなくて、話したこともないのだから、当然性格などわかるはずもない。

そんな俺に、露骨に嫌な顔を晒したり、突き放すように冷たい態度や言葉を放つ彼女。

普通に見れば第一印象は最悪だったかも知れない。

それでもそれが俺にさらけ出された彼女の一部だと思うと、嬉しくてたまらなかった。

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