どうしても君が好き

第9章 /Ⅲ 推薦と拒絶


「朝から騒がしいね? 何かあったの?」

凜は出社して社内の何となく色めきだった雰囲気に圧倒されていた。

「あれですよ」
美子は壁に貼られたポスターを指差す。

「あぁ、そう言えばエレベーターの中にも貼ってあったわ。どんな内容なの?」

「読んでないんですか?」

美子は凜を引っ張って健也が見ているポスターの前に立たせた。もちろん、健也に「どいて」と横においやって、である。

健也は渋々ポスターの前から退いて、美子と凜の後ろからポスターを眺めることにしたようだ。

ポスターとは言えるが、ちらしのようなものだ。

本気で実行しようとしているのか、思いつきで試しにやってみようとしているのか、どちらか判別がつかない。

「“イメージモデル募集”…」

「自薦、他薦は問わないらしいですよ」
後ろから健也が言った。

「“新商品のアピールのため”ねぇ…」

自社商品のPRを目的として自社社員がモデルとして活躍する話も聞かないことはないが…。

「うちの会社、文具とか生活雑貨とかを主に取り扱ってるのに、イメージモデルってどういうことなんでしょうね?」

凜の疑問を美子の言葉が明確に表していた。

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