どうしても君が好き

第14章 /Ⅰ 忘年会




今日は、経理部と財務部の合同忘年会が開かれた。
期末でますます忙しくなるため、少し早めの開催が恒例だった。
会場も例年の同じ居酒屋である。
忘年会シーズンはスーツ姿のサラリーマンの集団をよく見かけるから、他の会社でも忘年会と言えばこの店なのだろう。

最初は経理部と財務部の机は別れていて、時間が進むにつれて混ざっていくのが常だった。
今は、まだ人もまばらで乾杯もされておらず、自由に場所を行き来できた。
そのため、凜は財務部の琴美と身を寄せて話をしていた。

「あれ? 井上くんは?」

琴美がふと首をかしげ、チラチラと周りを伺い、凜に訊ねた。

「今日は家庭の事情で欠席」

「そうなんだ」

凜は詳しく話さなかったが、今日は有彩の退院日で、久しぶりに家族水入らずで食事をすると総司から聞いていた。

「残念。凜ちゃんとのこと、聞こうと思ってたのに」

ぷくぅっと頬を膨らまし、不満げな顔をする琴美は、凜から見て可愛らしく見えた。

「それより、琴美ちゃんこそ最近どうなの?」

「えぇ~?」

琴美は嫌そうな反応をするが、表情は満更でもない。
それもまた、凜には可愛いと思えた。

女の子は聞いてもらいたい生き物なのだ。

凜は、宴会が始まるまで、琴美の最新の恋愛事情について根掘り葉掘り楽しく聞いたのだった。


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