晴れの日にコンコンと――

デート


 休みの日は昼近くまで眠ってしまうこともある絵里だったが、珍しく目覚ましが鳴るより早く目が覚めた。


 昨日の夜は酒に酔うこともなく絵里はベッドに入り、北木はソファーで眠った。


 目覚ましを切り絵里はベッドから出てソファーに寝ている北木を見る。お腹に掛けたタオルが足元に丸まっている。



――北木課長って寝相悪いのかな? なんか可愛いかも。



 そっと丸まったタオルを北木のお腹に掛け直し、今日着て行く服を選びにクローゼットに向かう。


 表情は相変わらず分からないが尻尾の動きなどで絵里はだいぶ北木の感情が読み取れるようになっていた。


 意地悪な言葉に予想外に落ち込む北木をフォローするつもりで言った言葉にこれまた予想外の反応をした。



――デートって言ったら嬉しそうにするから意識しちゃうじゃない。



 迷った末に透け感のあるキュロットパンツに無地のカットソーを選ぶ。歩くことを考えたカジュアルな服に、何点かの鞄を並べてまた悩みだす。



――問題は北木課長をどうやって連れてくかなのよね。どれも微妙に耳とか尻尾が見えし。



 自分の鞄に狐のぬいぐるみを入れて縁結びの神社を巡る姿は、なかなか痛い気がする。



「今日も紙袋でいいかな?」



 独り言をつぶやいて北木の眠るソファーを見やると目を覚ましたのか背もたれから耳が見える。



「おはようございます。良く眠れましたか?」


「うん……おはよう。もう出かける時間?」



 寝ぼけたような北木の返事に絵里がソファーを覗き込むと小さな手で目のあたりを擦っていた。



――可愛い。中身が北木課長じゃなかったら抱きしめてるところだよね。



 絵里がにやけ顔で見ているのに気付いた北木は、ハッとしたように背筋と尻尾を伸ばす。



「寝過ごしたか? す、済まない」


「大丈夫ですよ。私もまだ着替えてませんし、ゆっくりしていて下さい」



 笑いながら洋服を持って洗面所に向かった絵里を見送ると、北木は体を伸ばしてソファーにうつ伏せる。

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