晴れの日にコンコンと――

反省



「最悪! 信じられない!」



 一人帰宅した絵里はソファーに突っ伏して文句を吐きながら足をバタバタとクッションに打ち付ける。


 エニシのことにも苛ついていたが、なにより北木の「取り敢えず謝る」という言葉に絵里は一番腹を立てていた。



――仕事で失敗した訳じゃないのよ。結婚式を逃げ出すほど不安になった乙女心に取り敢えずなんかで謝るな!



 思い出したくもない今までの苦い恋愛経験が、勝手に絵里の脳内で再生される。



「やだやだ! 駄目男ばっかり……見る目ないのかな」


 不覚にも北木を意識しだしていた矢先だったからか、絵里は自分の恋愛と勝手に重ねて傷ついていた。



――やめやめ。北木課長と付き合ってる訳じゃないし、あくまでもクズハとエニシの話じゃない。



 頭を振って冷静さを取り戻すと、姿を狐のぬいぐるみに変えられてしまった北木をあんな風に置き去りにしたことに罪悪感が湧く。



「迎えにいってやるか……」



 起き上がって投げ出した鞄と紙袋を掴むと玄関のチャイムが鳴り、返事をしてそのまま玄関に向かう。



「紺野君、北木とエニシだ。話を聞いて欲しい」



 ドアの向こうから北木の声が聞こえ、絵里は直ぐに玄関のドアを開ける。


 玄関口には大きな体をした狐男が狐のぬいぐるみを抱き、情けない様子で頭を下げて立っていた。

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