晴れの日にコンコンと――

解決


 クズハは怒りの形相で3人のもとへ歩いて向かってくる。


 人の北木の顔は普通にしていても、つり目でキツイ顔なので近づいてくる様は恐ろしい。



「3人揃ってなにしてるの?」


「クズハ! 俺は……済まない。戻ってきてくれ!」



 エニシは立ち上がり尻尾を地面につけ頭を下げるが、クズハの表情は崩れない。


 絵里はベンチにいる北木を抱き上げ、二人の様子を見守っていたが、一向に話が進まない様子に絵里がエニシの脇腹を突く。



「もっと肝心なこと言わなきゃでしょ!」



 クズハを前にエニシは緊張と恥ずかしさで顔は真っ赤、頭は真っ白。絵里にささやかれやっと一晩考えた気持ちを口にする。



「おっ、俺はクズハのことがずっとすっ、好きでその……」


「なによ今更! そんなのウソよ……会いに来るのは縁朱様を迎えに来たついで。二人で出かけても仕事の話ばかり。私の顔も見ようとしてなかったじゃない。私だけ浮かれて……エニシは私のことなんて好きじゃないのでしょう?」



 俯きぼろぼろと泣き出したクズハに、エニシは動揺して絵里と北木に助けを求めるように視線を送る。


 早く言葉を続けろとエニシを睨んで絵里は尻尾を踏みつける


 北木は自分の体が泣いていることに、エニシと同じように動揺していた。



「クズハ! お見合いは俺が頼んだのだ。縁朱様を迎えに言った時にクズハを見て一目惚れした。クズハに会いにいったついでに縁朱様を連れ帰っていたのだ。クズハの前だと緊張して、上手く話せない。ずっとクズハが不安がってるのも分からず馬鹿みたいに浮かれていた……」



 エニシは大きな体を縮めるように肩を落とし、不安げだが必死にクズハの目を見つめて伝える。



「本当に? 信じていいの?」


「好きだクズハ。愛している一生の伴侶になって欲しい」



 間を開けてエニシの言葉を噛みしめるようにクズハは目を瞑る。



「えぇ、もちろん。私も愛してる」



 エニシの大きな胸にクズハが飛び込み二人はしっかりと抱き合った。



――良かった丸く納まったみたいね。それにしても、何とも言えない光景だわ。



 感動的な光景なのだが、大柄な着物姿の男とスーツを着たスラリと背の高い男が熱い抱擁を交わしている。



「自分の体が男とあんなふうに抱き合っているのを見るのは複雑だ」



 北木は肩を落とし絵里を見上げ呟いている間に、エニシとクズハは抱き合ったまま見つめ合い顔が近づいていく。

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