蓮華 Final【完結】




胸の中で呟いて、前に向き直った―――と…。



サーッと風が吹き、微かな枯れ葉や砂を巻き上げた。



咄嗟に目を閉じた私。




そして再び目を開いたその時、視界に映ったのは――――……




東条樹とユリの眠るその場所には一つの影があった。



一切の音が遮断され、一瞬時が止まったようだった。



向こうも私の存在に気付くと一瞬驚いたような表情を浮かべ、気まずそうに目を逸らした。



何年経っても忘れるはずのないその顔、




「…あ…えっと……こ、こんにちは…」




その声、夢じゃないかと自分自身の神経を強く疑った。





「蓮華ちゃん」





この人から最後にそう呼ばれたのはいつ以来だろうか。



過去、私自身を見ようとしてくれた人。




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