蓮華 Final【完結】

第五章 総長消失 /気付かない碧




決して後ろへは振り返らず私は外に向かった。



その途中…ふとあの場所が視界の端に映って、自然と足を止めていた。




東条樹の最後の場所。


私が彼の死から逃げた場所。




私は脳裏に焼き付くあの時の光景を振り払うように顔を背け再び走り出した。









神乃の家を出た私は徐々に速度を落として仕舞いには足を止めた。



そっと自分の頬に手を添えると自嘲的な笑みが零れる。



これだから、嫌なんだ。



一度泣いて、そしたら感情を抑える事が出来なくなって。



こんな風に泣き喚く女なんて、大嫌いだ。



そのまま手を耳に翳して彼から貰ったピアスに触れる。


…それがとても冷たく感じられるのはどうしてだろう。




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