蓮華 Final【完結】

第二章 代償の末に /悪魔




ジュンが教えてくれた彼の病室周辺は幸い人通りは少なかった。



個室らしく、ドア付近には“天野唯吹”のプレート。



それを目にすると一層現実味が増した。



ここにイブキが、いる。


不安や緊張に私の鼓動は早くなる。



思考を巡らせる度に良くない方向に転がる。



だけどここで逃げたら、それこそ裏切りだ。



小さく息を呑んで私はドアに手を掛けた。


そのまま横に動かすと見えてくる病室。



私は恐る恐るその病室に足を踏み入れる。



一歩、二歩……そこで私は立ち止まる。



ここからでは死角になっていて顔は見えないが誰かがベッドに入っている事は確認出来た。


誰かなんて一人しかいない。



「イ、ブキ…」



そう、彼しかいない。





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