逆様少女Ⅳ【完結】

第十八章 /逆様少女、彼の内







「私…あなた達に何かした……?菜月が何を奪ったっていうの…」




呟きながら私の眼は男の組まれた手を見ていた。


その手を覚えてる。


無抵抗な菜月の首を絞めた手だ。




「俺の大事な人を奪ったんだよ」




そう言ったのは亮だった。


私は振り払うように亮の腕を解いて睨み付けた。



ニッコリと眼鏡の奥の目が笑う。


堪らず背筋が寒くなる。




「話をしようか」


「……なに…」


「菜月と菜月の仲間がずっとお前に黙ってた話」




“お前”と称して私を指差した亮。


呆然と立ち尽くす私から座ったままの男に視線を移した。




「アスマさん、アンタに協力したんだ。口出ししないで、約束は守ってくださいね」




亮はこの冷たい男をアスマさんと呼んだ。



私は今日初めてこの男の名前を知ったのだった。




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