逆様少女Ⅳ【完結】

第十八章 /逆様少女、傷だらけ







無我夢中だった。


一瞬の油断も隙も与えられない。



殴っても蹴っても笑いながら起き上がって来る狂った奴等。



ほら、セリ達はやめろって反対した武術も、散々怒って止められた喧嘩も今こうして役に立ったじゃないか。



いつの間に意識が戻ったのか、アスマが壁に体を預けながら唖然と目の前の光景を見詰めていた。



静かだった。


互いの息遣いすら聞こえてきそうな程静寂。


私は肩で息をしながら、所々血で汚れた床を見詰めていた。



喉が空気に掠れて渇いた音を出す。




「ほんっと……」




地面に伏して倒れた仲間を見て亮は引き攣った顔で言い捨てた。




「二年とやり合った時、赤崎クンがアンタを出してたらと思うとゾッとするよ」


「……どーも」




椿はそんな事しなかった。


私はトモダチが助けてほしいと言えばいつでも助けるつもりだったけど、彼等は私に来て欲しくなかったみたいだったから。 




「今があの時なら菜月を助けられたかもしれないのにね」




ギラギラ光ったナイわを試すようにテーブルにノックさせ、耳障りな金属音が響く。亮が虚ろな目をだらりと上げて私を捕えた。



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