意地悪な兄と恋愛ゲーム【完】

第十章 /再会

「遅くなってごめん!」


次の日、美咲は友人の机に、クッシャクシャのシワッシワになった紙切れを一枚置いた

それを見た友人は怪訝そうに眉をひそめた


「何これ…」


指先で紙をつまみ上げ、突き返そうとする


「見るからにゴミでしょ?何の嫌がらせ?」


「晴斗の電話番号」


美咲が言うと、友人は目を見開き、その紙をマジマジと見つめた


掠れたボールペンで、何とか読める数字が書き連ねてある


「ほ、本当に!?ありがと~、美咲!!」


晴斗の電話番号が載った紙をゴミだと言った友人は、簡単に態度を裏返し、紙に頬ずりを繰り返す


はぁ………

今回も、なかなか骨が折れた___


あとは、


「着替えか、寝顔か、美咲はどっちを撮ってきてくれるのかなぁ?」


もう一人、残った最後の友人が、腕を組み美咲の前に現れた


「さ、さぁ、どっちかなぁ?」


「楽しみにしてるんだから早くぅ!」


「分かってるよ」


今のところ、着替えも寝顔もことごとく、失敗に終わっている


着替えならいくらでも撮らせてあげるって言っていた晴斗だけど、私がカメラを構えて「じゃあ、脱いで?」って、おいおい、どんな兄妹だよ!


そんなとこ、もしお母さん達に見られたら、どうやってこの先、家族を続ければいいんだ__?



何か方法、考えなきゃ……



「ねー、ところでさ、この前駅前に出来たイチゴケーキの店行った~?」


美咲が深く悩んでる間に、3人の友人達は違う話題に花を咲かせている


「昨日、行ってきた!超うまかったよ!生クリームがフワフワでさ~!」


「な、何、何の話?」


美咲もズイッと、友人達の輪の中に首を伸ばす

机の上には、その店のチラシが広げられていた


「ここのケーキ屋さん、有名パティシエの人気店なんだって~」


チラシには目玉商品なのか、生クリームがタップリのイチゴショートがでかでかと載っている


「お、美味しそ……」


美咲はゴクリと生唾を飲み込んだ


ヤバイ、お腹すいてきちゃう……


元々甘いものに目がない美咲は、チラシから視線を外せない


「イチゴのスイーツが売りの店なんだけどね、イチゴだけじゃなくて、タルトとかモンブランとか、生チョコのケーキとか、どれもめっちゃ美味しいってさ!」


「そ、そうなんだ。食べてみたいな……」


「店内で飲食もできるし、美咲も一度行ってきなよ~」


誰と!?


という疑問が激しく頭をよぎり、途端にもの哀しくなった美咲だった…… 


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