意地悪な兄と恋愛ゲーム【完】

第十四章 /揺れる心

「何って、美咲ちゃんが火傷をしたから、冷水で冷やしてあげてるだけだよ」


颯真は至って冷静に、今の状況を説明した


「…火傷?」


晴斗は心配そうに表情を曇らせながら、美咲に視線を向ける


「だ、大丈夫。指先が少し、鍋の縁に触れただけ…」


「だけど、美咲ちゃんは女の子なのに、痕が残ったら大変でしょ?」


「颯真先輩…」


「……ほら、指、ちゃんと水に浸かってないよ」


「離して…」と、美咲が言おうとした時、晴斗が横から颯真の腕を掴み、美咲の手首から引き離した



「俺のものに触るな…」



晴斗の目は、強い怒りを宿していた

そんな晴斗の表情を見たことのなかった美咲は、思わず息をのんだ

 
「颯真、俺に殴られたくなかったら、今すぐ出て行ってくれ」


キッチンに、冷徹に響く晴斗の声

颯真はクスリと笑うと、降参したように「…分かった」と両手を上げた


「だから、そんなに怖い顔しないでくれる?運動神経がケタ外れの晴斗の喧嘩を、真っ向から買う気はないからさ…」


颯真はそう言い残し、キッチンから出て行った




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