意地悪な兄と恋愛ゲーム【完】

第八章 /二人きりの一夜

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晴斗は部室の鍵を開け、そのドアを勢いよく開けた


「美咲!!」


中はまっ暗で、今も激しい外の嵐が嘘のように、シンと静まりかえっていた

とても人がいるようには感じられない


慣れない視界の中、携帯電話の明かりを照らして美咲の姿を探した 


ガタンと奥の方で物音が聞こえた


「美咲!?」


晴斗は、椅子や荷物に足をぶつけながら必死にそちらに駆け出した


「美咲……」


ロッカーと壁の隙間に、小さくなって震える子猫のような美咲を見つけた


「晴斗……」


散々泣きはらした目で見上げられた時、堪らない後悔が晴斗を襲った


胸ぐらを鷲づかみにされて誰かに朝まで殴られても足りないくらい、今の自分を許せなくて仕方ない___


それなのに美咲は晴斗を見て、こう言った



「晴斗、来てくれて、ありがとう……」



そしてまた、こぼれ落ちる涙を、子供みたいに手の平で拭う



「…どうして、どうしてそんな事、言うんだよ…!」



胸が強く締め付けられて、今にも破裂しそうだった


今、目の前で泣いている美咲の事が、たまらなく好きだ 


だからこそ苦しくて、切なくて、たまらなく悲しくて…     


いっそのこと、破裂してしまえば楽になれるのに___




昔、押し入れの中に閉じ込めて……


怖がらせて……泣かせて……



「美咲をこんなふうに怯えさせたのは、俺なのに__」




一体俺はどこまで、


美咲を傷つけたら気が済むんだ___




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