真夜中の相談屋敷

「おばあちゃんっ」

『おや、舞』

少女は蔵の扉からひょっこりと顔を出すと、蔵の中に足を踏み入れて、おばあちゃんに向けてピースサインをした。


…つい最近の光景…。


「私、今日から2年生だよ!」

『そうかい。でもスカートが短くないかね』

少女が通う高校のスカートの長さの規定は膝上3センチだが、少女はそれを膝上5センチにしている。

少女は1年生の時はちゃんと膝上3センチにしていたが、進級した今は少しだけスカートを短くしていた。

「2年生はこのくらいでしょ…、たぶん」

買い物に行かせてもらえないため今時の服装がいまいち分からない少女は、このくらいのスカートの長さがオシャレだと思っている。

「まぁいいやっ!それよりさ…」

少女はある本を探し、その本を見つけるとおばあちゃんに見せた。

「明日、課題テストがあってさ…、古文の範囲はこの本なんだよね…。それでさ…」

『…教えてほしいのかい?』

「そう!教えて!お願い教えて!」

『でも、もう完璧じゃないか』

今の少女は、古文のことをもうだいたいは分かっていた。

でも完璧に分かってしまったら、もうおばあちゃんに会う理由がなくなってしまうと、少女は考えていたのだ。

「完璧じゃないし!」

『まったく…。いつからこんなに意地っ張りな子になってしまったんだろうね…』

「意地なんか張ってないよ」

『そうかいそうかい。…分かったよ。教えてあげるわ』

「…!ありがとう!」

『で、どこが分からないのかね』

「えーっとね…」

少女は本をパラパラとめくる。


「……舞?」


「え…?」

おばあちゃん以外の人に自分の名前を呼ばれた少女は、その方を振り返った。

少女が振り返った先は蔵の扉だ。

「……っ!?」



少女は目を見開いた。

それと同時に心臓の音が高鳴る。



「あんた…、こんな所で何をしてるの?」



「…おば…さん…」



扉に晶子おばさんが立っていた。



さっき蔵に入った時、少女はうっかりして扉を閉め忘れてしまっていたのだった。


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