真夜中の相談屋敷

『最近、口裂け女とは会っているの?』

『ごふっ…!ケホケホッ…。ど、どうしたんですか?急に…』

人体模型は動揺したのかコーヒーを飲んでむせている。

『ここ最近、口裂け女をこの町で見ないから…。ふたりはどうしてるのかと思いまして』

遠距離恋愛をしろと言ったのは私だ。

だけど、会っているのかどうか気になる。

『そうですね…。最近は会ってません』

人体模型は寂しそうな表情をして、自分の持っているコーヒーを見ている。

『文通とかすればいいじゃない』

『そうですが、どこにいるのかもさっぱりで』

私は髪をいじった。

『まぁ…仕方のないことですわね』

学校のお化けは学校の数だけ居る。

そのお化け達は親戚だ。

でも、口裂け女などの単独のお化けはいろんな場所に行かなければならない。

いつまでも同じ場所に留まることはできないのだ。

『ねぇ知っていて?今は小さな機械で連絡を取り合えるのよ。便利な時代になりましたわよね』

『確か…、“けいたい”…という物でしょうか。よく生徒が授業中に隠れて触ってますよ』

『理科の授業?』

人体模型は笑ってうなづいた。

私はコーヒーをもうひとくち飲んだ。

『…でも、私は文通の方がいいと思いますわ』

『なぜですか?』

『文通は、相手からの返事を待つ時間が不安になりますわよね。でも…』

私はコーヒーをまわしながら応えた。

『待っていた分、その返事がきた時の嬉しさは計り知れませんわ』

『ふふっ…、そうですね。時間をかけた返事の方が嬉しいですね』

『ま、今は今でいいのですけれどぉ…』

私はそう言って、コーヒーを飲んだ。

『あ、それでですね…』

…?








0
  • しおりをはさむ
  • 9
  • 20
/ 460ページ
このページを編集する