真夜中の相談屋敷

花子さんは辺りをキョロキョロと見渡した後、深くため息をついた。

『やっぱりこの“出口”は、学校のトイレに繋がるものじゃなかったのね…』

「えーっと…、どういう…」

花子さんは今の状況を説明し出した。

『OB9が閉店時間になって、それでどの出口もどんどん閉まって行って…』

出口、つまり鏡のことだ。

『それで唯一まだ開いていたこの鏡から出ようと、急いで手を伸ばしたらその瞬間に閉まってしまったんですわ』

花子さんは頭を抱えている。

「ずっとあのままだったの?」

『ええそうよ』

花子さん曰く、あの状況になったらあのまま開店時間を待つか、もしくは誰かに引っ張り出してもらうかしないと、鏡から抜け出せないらしい。

そうそうそんなことは起きないらしいが。

『だから、知り合いのあなたに引っ張り出してもらえて幸いでしたわ』

むしろ他の客がこのトイレを使わなかったことが幸いだ。

他の客が花子さんの手を見つけたら一大事だった。

『あら、その方は?』

「莉央っていって、私の友達」

莉央はこの状況に呆然としているのか、さっきからずっと黙っている。

『挨拶ぐらいしたらどうなのかしら』

花子さんはそう言って、赤髪の巻き毛を手でなびかせた。

「この子…、本当にお化けですか?」

『どういうことかしら?』

「まったく怖くないんですが……」

『な…っ!?』

花子さんはピクピクと片眉を釣り上げている。

『ど、どうしてみんな私を怖がらないの…』

怒りというより、呆れに近い声色だ。

莉央は花子さんをまじまじと見ている。

「莉央…、驚かないの?」

「いや…、最初は驚きましたが…。なんか、ゲームみたいで、まぁこんなこともアリかなと思えてきました…」

莉央は“ゲーム慣れ”をしているため、この奇想天外な状況をすんなりと受け入れてくれた。

まぁ実際同じクラスに、幽霊が見える人や、取り憑かれやすい人とか居るから受け入れやすいんだろうけど。



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