真夜中の相談屋敷

【雑談】各章番外編 /兄としての役割 -葉月side-

「じゃあ、舞ちゃんの家族申請してくるわね」

舞が家に来た日の夜、母さんと父さんは市役所に出かけようと玄関に居る。

俺はその見送りをしていた。

「舞って養子として家族になるんだっけ?」

「そうよ。これから葉月はお兄さんになるんだから、しっかりするのよ?」

…お兄さん…。

「…分かった…」

お兄さんという言葉に少し照れつつ、無愛想に返事をした。

「じゃあ行ってきまーす。あ、ケーキあるから舞ちゃんと食べてね」

「舞のこと頼んだぞ」

そう言って母さんと父さんは家を出て、俺はふたりを見送ると舞が居るリビングに戻った。

リビングでは舞が雨戸越しから外を見ている。

…急に家族が増える……か…。

複雑な気分だ。

舞は夕食が終わってから一言も話さないし、さっきからずっとああしている。

…座ればいいのに。

あ、そうか。

遠慮してるのか。

ずっとひとりっ子だったからよく分からないが、たぶん“兄”の俺が率先して座れば舞も座るんじゃないだろうか。

…よし、

「…あの……さ」

「…?」

俺に声をかけられた舞は外を見るのをやめて、ドア付近に立っている俺の方を振り向く。

「えっと、座ったら?」

俺はそう言ってソファを指差す。

舞は黙ってそのソファに視線を落としているが、一向に座る気配がない。

…やっぱ俺が座らないとダメか。

俺は舞が座る場所を空けてソファに腰を下ろし、空いている所を手で叩く。

…犬呼んでる気分…。

「……」

舞はその様子を数秒見た後、ゆっくりとソファに近づき俺の隣に腰を下ろした。

会話がない分、時計の時刻を刻む音がリビングに響き渡る。

一言で今の心境を言うなら、気まずい。だ。



「………あ…の…」


ずっと黙っていた舞が口を開いた。

舞は視線を落としていて、決して俺と目を合わせようとしない。

「私の居場所を創るって言ってくれて…、ありがとう…」

「お、おう…?」

「ひとりにならないのは嬉しい…けど、でもね?これからはみんなに迷惑かけないように気をつけるから…」



「……あのさ」

「…?」


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