真夜中の相談屋敷

「クラスの女の子達がね、面白半分で校舎3階のトイレに行ったんだって」

校舎3階は、瀧達3年生の階だ。

「それで、花子さんを呼んでー」

「3回ノックして名前を呼ぶヤツ?」

「そーだよ。3回ノックして名前を呼んだまではいいんだけどー…」

「いいんだけど?」

「花子さんが出る個室のトイレのドアが急に…、ガンガンガンッ!ってなったんだって」

瀧は自分の顔の横に人差し指を立てた。

その仕草がなんとも女子っぽい。

「ガンガンガン?普通引きづり込まれるんだろ?トイレに」

「いやそれもそれで怖いから!」

「それで、怖くなった先輩達は瀧さんに相談を?」

「ピンポーン!あっきー大正解!」

「あ…ありがとうございます………?」

いつの間にかクイズ形式みたいになっていたことに、あきは困惑した笑みを浮かべた。

「よし、じゃあ行くか。今夜」

「は?今夜って…、なんで?」

葉月は立ち上がった。

「昼間、生徒が学校に居る間は生徒の悩みの相談に乗る。それは『相談屋』の活動としてはあたりまえ。でも…」

「でも?」


「『相談屋』はもうひとつ、夜にお化け達の悩みの相談に乗る『相談屋敷』っていう活動をするんだ」


「相談…屋敷?」

葉月は得意顔で言っているが、『相談屋敷』とは一体。

理解不能な私を見かねたのか、あきが説明を加えてくれた。

「『相談屋敷』は活動名だよ。生徒が居なくなったら学校全体が僕達の部室になる。だから“屋敷”なんだよ」

あきはニッコリと笑った。


ネーミングの理由を言われても…。

みんな得意顔で言ってるけどさ…。


「俺が夜、家に帰らないのはそのため」

葉月曰く、夜にお化け達の相談に乗っていて、それが朝までかかるから家にはあまり帰れないらしい。


“みんなのために頑張ってる。”


ふとおばさんの言葉を思い出した。

…みんなって…、

「……すぎ…」

「…?」






「相談に乗りすぎーー!!」




夕暮れの学校に私の声が響いた。



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