真夜中の相談屋敷

チャイムが鳴ると同時に私は軽く伸びをした。

化学、及び理系科目担当の先生は、うちのクラスの担任だ。

先生は号令をしたら即座に教室を出て行った。

…クーラーのかかってる職員室に直行か…。いいなぁ…。

先生が出て行くと同時に生徒達は動き出した。

「終わった!次の授業なんだっけ…」

次の授業の準備をしようと、机の中をゴソゴソと探しながら私は葉月に聞いた。

「国語。古文かー…」

葉月は私にそう教えると眠る態勢に入った。

なんか暑すぎてみんなダラけてるような…。とか感じながら国語の教科書を机の上に置いた。

「なに?古文苦手なの?」

「…まぁな。本当…意味不明なんだけど…」

葉月は机に顔を伏せながら応えた。

確かに古文は初めは意味不明かもしれない。

でも、分かると楽しいものだ。

「…ふっ、私は得意よ?古文」

勝ち誇ったように言ってみたのだが、葉月は、へー…、えらいえらい。と、棒読みで応えただけで、そこからの葉月の返答はなかった。

かなり眠いのだろう。

「葉月」

「……んー?」

あきが葉月に声をかけた。

葉月の席の前に立っている。

葉月は寝ぼけながら返事をして顔を上げた。

葉月は眠くなった時や寝た後はいつもの威勢を失う。

「僕、今日部活休むから」

「あー…、今日水曜日だったな」

「…?水曜日がどうかしたの?」

気になった私はあきに聞いてみた。

その途端、あきは苦笑いをしてうつむく。

「…うん…」

「いや、うん。じゃ分からないんだけど…」

「…水曜日は…なんというか…、逃げないといけないっていうか…。見つかっちゃいけないというか…」

「は?」

あきの様子が少し変だ。

謎の言葉を言うし。

「えーと、逃げる?見つかる?」

あきは黙った後にゆっくりと顔を上げ、そしてひとつため息をついた。

「僕にもいろいろあるんだよ…」

あきは笑っていたが、目が笑っていない。

…暗…っ…。

「じゃあ葉月、よろしくね…」

「お、おう…」

そう言ってあきは自分の席に戻って行った。




「…あのー…、葉月」

「…分かってる。言いたいことは」

「あきの様子…、なんか変じゃない?」

「毎週水曜日はなぜかあんなテンションなんだよなー…」

「…なんで?」

「…知るかっつーの」

葉月はまた眠りについた。



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