真夜中の相談屋敷 2

【相談5】恋する乙女の残夢 /その 1

10月も中旬となり、生徒は夏の制服から冬の制服へと衣替えを済ました。

『…クラゲ』

「分かってる。モスキートの言いたいことは」

朝のホームルームがもうすぐで始まるという頃に、私の前の席に座っているあきとソフィアが私の方を振り向く。

『こんな暗い雰囲気の小野寺さん、補習が決まった時以来ですな』

「そうだね…」

暗い雰囲気。

顔を両手で覆い黙って座っている今の私に、その表現はぴったりだと思う。

『制服は白いのに…』

「シャラァァァァップ!!!!」

急に上がった私の声に、ふたりと私のそばで浮いているユウはビクッと体を動かした。

私は半泣き状態でふたりを睨む。

「もう私の制服のことは放っておいて!」

『すみませぬ』

「で、でも似合ってるよ…?」

『そうだよママ〜!みんなより可愛い!』

「みんなよりってことはつまり、私ひとり浮いてるってことじゃん…!」

ユウの無垢な励ましに追い打ちをかけられ、私は勢い良く顔を机に伏せる。

「ソフィアはカッコ可愛い制服だよ…!」

『え』

「紺色のブレザー!紺色でチェックの入ったスカート!赤いリボン!胸元の校章!もう憧れの高校生の制服じゃん…!」

私は机に顔を伏せたまま、勢い良くあきの腕を掴んだ。

「うわっ!」

「男子も…男子もカッコイイ制服で…!」

男子も女子と同じく紺色のブレザー、チェックで紺色のズボン、赤のネクタイ、胸元の校章という、高校生らしい冬の制服だ。

掴むあきの腕をギュッと力強く握り締めた。

「痛い痛い痛い!」

「なのに…!なのに…!私の制服は…!」

中学生のような白色のセーラー服に紺色の襟袖、黒色で無地のスカート、黒色のスカーフ状のリボン。

それが私の冬の制服。

『あのね、ママの“せいふく”、こっちに来る前の“せいふく”なんだよ〜』

『ほう。転校前に通っていた高校の制服とな』

『お兄ちゃんね、すっかり忘れてたんだって』

『朱雀高校の冬の制服を買い忘れたという失態を犯したのですな』

ひとり制服の違う私を、あきとソフィアとユウがなだめてくれている最中、朝のホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。

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