真夜中の相談屋敷 3

【余談】少年から少女へ /その 1

「卒業式の答辞を、宮本に頼みたいんだが」


まだ大学入試も受けていないのにもう卒業式の話を、進路相談の際に担任から切り出された。


「瀧でいいんですか〜?」

「成績も常にトップで、志望大学もレベルの高いところだからな。このままいけば、合格もするだろう」


放課後の教室で、向き合わせた机を挟み、生徒と教師の一対一の対談をしている。

対談時間は10分程度で、残り3分ほどなのだが、次に対談する生徒はまだ来ていない。


「分かりました、じゃあこれから書き始めますね〜」

「だがな、宮本。まずは“それ”をやめてもらわないと、決定にはできないんだ」

「ほぇ。それって?」


担任に対して、あどけなく首を傾げてきょとんとした目を見せる。机の上で手を組みどこか後ろめたい担任の表情が、目に映った。


「宮本 瀧だ」

「……ほぇ」

「それを続けることをやめない限りは決定には至れない」

「でも」

「理事長や、学年主任を含め3年の先生達は全員、お前を推薦している」

「だったら別に……」

「だがその条件が、それなんだ」


担任が最後にそう言って、進路相談は終えた。荷物を持って教室を出た時、ようやく次の生徒が慌てた様子で来た。

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