好 き の 内 側 を 見 せ て 。

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今まで喧嘩という喧嘩をしたことがなかった。一方が嫌な思いをしてそれを我慢していたとかならあるかもしれないけれど、一方はそうならないようそれなりに気を使っていたはずだ。



今回も同じだったはず。仕事でいろいろあって特別機嫌の悪かった俺と、俺の粗相により特別ナイーブになっていた那加とのタイミングの悪さ。




事は仕事で理不尽なことのあった夜。そんなことがあってもやっぱり次の日は仕事なわけで、ただいまと那加に声をかけて翌日のスーツの準備に取り掛かった。明日こそはなにも言い返せないような仕事をしてやると験担ぎのために、那加がプレゼントでくれたシャツを来て仕事に行く予定だった。なのに、ハンガーにかかったシャツの中にお気に入りのそれはない。




「 那加、あのシャツないんだけど? 」


「 、洗濯中です 」


「 えー、お気に入りだから明日着たいのに 」


「 洗濯中だって言ってるじゃないですか 」


「 何怒ってんの?ごめんって 」





その日はなにそんなことで怒ってんのとしか思わなかった。那加に貰ったお気に入りのシャツだから明日着ていきたいってだけだったのに。




そう思っていつも通りごはんを食べて、お風呂に入って寝た翌日。







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